論文
BWRプラントにおけるSCC対策の実機適用と評価
著者:
山下 裕宣,Hironobu YAMASHITA,岡村 祐一,Yuichi OKAMURA,安川 宏,Hiroshi YASUKAWA,水谷 淳,Jun MIZUTANI,二見 常夫,Tsuneo FUTAMI
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1.背景および概要沸騰水型原子炉(BWR)プラントにおける応力腐食割れ(SCC)の発生事例は、1974年に米国で原子炉一次系のステンレス鋼配管に確認され、国内においても、多くの事例が確認されている。炉心シュラウドについては、1990年にスイスで、1993年には米国、翌年には東京電力福島第一2号機で も確認された。本稿では、国内BWRプラントにおけるSCC対策と して実機に適用された工法と評価について述べる。2.原子炉内大型構造物の取替2-1) 概 要1994年に福島第一2号機シュラウド中間リング溶接 部(......
解説記事
沸騰水型原子力発電所におけるステンレス鋼の応力腐食割れの経過と教訓(2)
著者:
二見 常夫,Tsuneo FUTAMI
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2.低炭素ステンレス鋼の導入とSUS304製炉内構造物の取替え2.1 低炭素ステンレス鋼の導入定期検査の度に配管等にSCCが発見され、その対応でプラントが長期停止し作業員の放射線被曝線量と修繕費が増大する問題をかかえていた電力会社は、(財)原子力工学試験センターの確証試験結果が出ると、低炭素ステンレス鋼(極低炭素に成分調整した原子力用SUS316およびSUS316L)を工程上間に合うものは建設中のプラントに一斉に導入していった。 低炭素ステンレス鋼が1981年に最初に採用された福島第二原子力発電所2号機(......
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沸騰水型原子力発電所における低炭素ステンレス鋼の応力腐食割れの経過と教訓(3)
著者:
二見 常夫,Tsuneo FUTAMI
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3  低炭素ステンレス鋼の応力腐食割れ3.1 応力腐食割れの発生恒久対策として、低炭素ステンレス鋼製にSUS304製のシュラウドおよび原子炉再循環(以下PLR;Primary Loop Recirculation)配管を取り替えていた 1990年代後半に、福島第二原子力発電所(以下2F)および柏崎刈羽原子力発電所(以下K)の最初から低炭素ステンレス鋼製であったシュラウドやPLR配管に応力腐食割れ(以下SCC;Stress Corrosion Cracking)が発見されSCCの第Ⅱ期が始まる。低炭素ステン......
解説記事
沸騰水型原子力発電所における低炭素ステンレス鋼の応力腐食割れの経過と教訓(4)
著者:
二見 常夫,Tsuneo FUTAMI
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4 SCCが発生したプラントの維持管理4.1 維持規格に基づくSCC管理フロー SCC第Ⅲ期は、プラントの総点検から大量の低炭素ステンレス鋼の応力腐食割れ(以下SCC;Stress Corrosion Cracking)データが得られる〔1〕と同時にSCCを現有するシュラウドおよび原子炉再循環系(以下PLR; Primary Loop Recirculation)配管の構造健全性確認が喫緊の問題となった。また軽微なき裂も多数あることも判り、運転後のプラントを新品同様に保つと公言し過剰なまでに予防保全を優先......
解説記事
沸騰水型原子力発電所における低炭素ステンレス鋼の応力腐食割れの経過と教訓(1)
著者:
二見 常夫,Tsuneo FUTAMI
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はじめに沸騰水型原子炉(以下BWR:Boiling Water Reactor)は直接サイクルであることから、原子炉圧力容器(以下RPV:Reactor Pressure Vessel)内に系統から錆や不純物が持ち込まれると濃化しRPV内の水質を悪化させ、さらにそれらが放射化されて運転保守環境を悪化させる。このため原子炉周りの配管は高価ではあるが腐食に強く強度のあるステンレス鋼およびニッケル合金を使用し、冷却水に純水を用い、容量の大きい原子炉浄化系を設けている。したがって、ステンレス鋼はBWRプラントを構......